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探偵が行う浮気調査に違法性はないのか?

テレビドラマや漫画の世界では、探偵を題材にしたものが多くありますが、実際に探偵を利用したことがある方は非常に少ないのではないでしょうか?

探偵は民事訴訟の証拠収集が依頼の中心となりますので、トラブルなどに巻き込まれずに生活している人にとっては、利用することが殆ど無い業界と言うことが出来ます。

そのため、探偵についてよく知らない方が多く、実態が分からず不安に感じる方も多いのではないでしょうか?

また、よくわからない業界だからイメージだけが膨らんでしまい、探偵の調査に対して不安を感じる方が多いのかもしれません。

今回は現役の探偵の方からお話を聞くことが出来ましたので、探偵が行う浮気調査に違法性が無いかを解説していきたいと思います。

お話をお聞きした探偵はこちらになります。

全ての探偵が合法的な方法で調査を行っている訳ではありませんので、探偵を選ぶ時には信頼できる業者を選ぶ事が大切です。探偵が違法な方法で調査を行っている場合には、証拠として認められないことがあるだけでなく、依頼者が罪に問われてしまう可能性もありますので注意が必要です。

証拠撮影は盗撮にならないの?

探偵が行う浮気調査は、ホテルやマンションなど密室への出入りや手を繋いだりキスをしているシーンを動画として撮影し、その画像を浮気の証拠としているケースが大半です。

浮気をしている人にとっては、撮影されたくないシーンを撮影されていることになりますので、盗撮にはならないのか不安に感じる方も多いのではないでしょうか?

実は、刑法上では「盗撮罪」という犯罪は存在しません。しかし、盗撮によって逮捕されたというニュースは頻繁に耳にするのではないでしょうか?

これは、「盗撮罪」ではなく、各都道府県が制定するいわゆる「迷惑防止条例」によって犯罪とされています。

(条例は都道府県により異なる場合が有りますが、東京都迷惑防止条例違反の罪の法定刑は1年以下の懲役または100万円以下の罰金とされています。)

迷惑防止条例違反により規定されている盗撮とは、正当な理由なく人を著しく羞恥させたり人に不安を覚えさせたりするような行為のうち、「人の通常衣服で隠されている下着や身体をカメラなどの機器を用いて撮影する行為、撮影する目的でカメラなどの機器を差し向ける行為、撮影する目的でカメラなどの機器を設置する行為」をいいます。

つまり、トイレやホテル内などを撮影したり、公共の場所であってもスカートの中などを撮影すると迷惑防止条例違反となります。

これに対して、探偵が行う浮気の証拠撮影では、公共の場所で衣服を身に着けている姿を撮影していますので、迷惑禁止条例違反となることはありません。

もし街中を撮影する行為が違法であるのならば、防犯カメラやドライブレコーダーの撮影も、違法となってしまいますし記念撮影なども出来なくなってしまいます。

あおり運転などをスマホで撮影したものが話題になったこともあるように、これらの撮影も加害者にとっては撮影されたくない映像であることになりますが、被害を証拠として残す目的であれば正当性があると考えられています。浮気は刑法に定める犯罪ではありませんが、民法に反する不法行為に該当します。そのため、浮気の証拠撮影にも正当性があると考えられています。

このような方法の証拠撮影は、警察の捜査で証拠収集を行うときにも利用されています。

このことからも、探偵が行う浮気の証拠撮影には違法性がないことが分かると思います。

ただし、全ての証拠撮影に違法性が無い訳ではありません。

通常衣服で隠されている下着や体を撮影した場合には、探偵であっても当然として迷惑禁止条例違反に当たります。依頼者の中には、性行為をしている写真が証拠として欲しいと希望されることもありますが、このような撮影は違法となる可能性が高いため通常探偵が行うことはありません。

また、他人の敷地や邸宅内に入って撮影を行った場合、そのような場所に隠しカメラを設置した場合には、住居侵入罪に問われる可能性が高いでしょう。

その他、「人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た」行為は軽犯罪法違反となり、これらを撮影することも違法となります。

そのため、探偵が行う撮影は、公共の道路や公園、コインパーキングの車の中などから撮影を行っています。これらの場所からの撮影であれば、住居侵入にはなりませんので違法性はありません。また、室内を撮影することは行わず、あくまでも公共の場所での姿を撮影することが基本となります。

プライバシーの侵害や肖像権の侵害に当たらないかを心配される方もいらっしゃいますが、これら刑法では無くあくまでも民法による規定となりますので、犯罪として刑事上の責任を問われることはありません。

民法とは個人間の関係を規律する法律で刑罰などの罰則はありません。だからと言って守らなくて良いものではなく、民法に反すると民法上の不法行為責任を問われ、損害賠償を請求が認められる可能性があります。

浮気で慰謝料が請求できる根拠も、民法に定める「夫婦以外の異性と性的関係を持たない貞操義務」を犯した不法行為に該当するためです。

「肖像権」とは、「承諾なしに、また正当な理由なく、自分の肖像(顔、姿)を写真や絵画、彫刻などに写しとられたり、公表あるいは使用されたりしない権利」の事をいいます。

浮気の証拠撮影であれば、通常は正当な理由に該当すると考えられますし、不特定多数に公表することもありませんので、肖像権の侵害には当たらないと考えられます。

「プライバシー」とは、「個人の私生活の事実、公開されたくない事柄、未公開の事柄をみだりに公開されない権利」の事を言います。

浮気の証拠撮影の場合であれば、本人や浮気相手に見せたり裁判に利用することはあると思いますが、みだりに公開するしなければプライバシーが侵害されたとは言えないと考えられます。

ただし、浮気の写真をインターネット上に公開したり、職場や自宅に張り紙をしたり言いふらしたりする行為は、肖像権やプライバシーの侵害に当たると考えられます。

また、このような行為は名誉棄損に当たる可能性もあり、この場合は刑法に違反することとなりますので刑事罰の対象となります。

張り込みや尾行はストーカー行為に当たらないの?

ストーカー規制法では、「つきまとい、待ち伏せ、進路への立ちふさがり、見張り、押し掛けること」などの行為が、規制の対象となっています。

このことを考えれば、探偵が行っている尾行や張り込みも同じ行為に当たりますので、違法性を心配される方が多いのも事実です。

ストーカー規制法は、「特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的の行為を対象とした法律」になります。

つまり、恋愛感情が動機になっている行為に対してはストーカー規制法の対象となりますが、恋愛感情が動機になっていない行為に対してはストーカー規制法の対象となることはありません。

探偵は、調査対象者に対して恋愛感情を持っていないことは明確であり、業務として調査を行っていますのでストーカー規制法の対象となることはありません。

また、迷惑防止条例によるつきまとい行為の禁止では、「ねたみ、恨みその他の悪意の感情を充足する目的」でのつきまといを禁止しており、探偵はこの目的に当てはまることは通常ありません。つまり、迷惑防止条例の規制対象に当たらないと考えられます。

探偵が行う張り込みや尾行が違法でない根拠には次のようなものがあります。

探偵業は、「探偵業の業務の適正化に関する法律」という法律により、業務内容が規定されているのですが、この法律でも、探偵が行うことが出来る調査方法として「張り込み・尾行」などが明記されています。つまり、「法律により張り込みや尾行は認められている=違法性はない」と考えることが出来ます。

また、探偵が張り込みや尾行によって取得した証拠は、裁判でも証拠として採用されています。裁判では、違法に取得した証拠は基本的に証拠として採用されないことからも、これらの行為に違法性が無いと司法も判断していると言えるでしょう。

ただし、張り込みや尾行が全て違法性が無いとは言えません。

探偵業の業務の適正化に関する法律では、「人の生活の平穏を害する等個人の権利利益を侵害することがないようにしなければなりません。」と定められています。

つまり、対象者はもちろんその他の人に対しても、恐怖心や不安を与えるような張り込みや尾行は、平穏を害する行為と捉えられる可能性があります。

また、個人の権利や利益を侵害するような行為や目的で行うことも禁止されています。

浮気調査は信頼できる探偵に依頼する事をお勧めします

個人的に浮気の証拠収集を行った場合には、どの様な行為に違法性があるのかを正しく認識していないため、気付かないうちに違法性がある行為をしてしまっていることが少なくありません。

また、浮気の当事者はどうしても感情的になってしまい、冷静な判断が出来ないことも問題の一つです。

例えば、相手のスマホを勝手に見た場合には、不正アクセス禁止法違反や信書開封罪に当たる可能性があります。

また、張り込みや尾行であっても、その方法によっては違法となる可能性があります。

些細な行為であっても相手が不満に思い、揚げ足を取ってくることは決して珍しい訳ではなく、希望する結果が得られないばかりがこちら側が不利な状況になってしまうことも考えられます。

このような問題を避けるためにも、信頼できるプロ探偵に調査をすると良いでしょう。

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